外壁塗装は、定期的なメンテナンスが必要ですが、その際に「今回は一部だけの補修で済ませたい」と考える方も多いと思います。
しかし、一部分だけ塗装すると、あとで不具合が発生するケースが多いためおすすめできません。
そこで、この記事では、一部だけの外壁塗装をおすすめしない理由や例外的に一部だけの塗装で済むケースについて解説します。
また、予算が足りない場合の解決策も説明していますので、全面塗装では資金繰りが大変と悩んでいる方は最後までご覧ください。
一部だけの外壁塗装より全面塗装がおすすめ
外壁の一部だけに色褪せや傷みが出てきたけど、ほかはまだきれいな場合、今回は一部だけの工事で済ませたいと思う方が多いでしょう。
もちろん、外壁塗装は一部だけの施工も可能です。
しかし、残念ながら一部だけの外壁塗装は、かえってお金がかかったり、家の傷みが進行したりするなどデメリットの方が多くおすすめできません。
長期的に考えた場合、おすすめなのは一部だけの塗装よりも全面塗装です。
一部だけの外壁塗装をおすすめしない5つの理由
外壁は、新築後およそ10年前後で経年劣化を起こすと言われており、その症状に合わせた補修工事を行う必要があります。
補修工事の基本は外壁全体の塗装を行いますが、一部だけの外壁塗装で済ませてしまうケースもあるようです。
しかし、さまざまな理由から、外壁塗装の一部だけの補修はおすすめできません。ここではおすすめしない理由について解説します。
トータルコストを見ると高くつく
部分的に施工すると、1回あたりの費用は安いですが、トータルで考えるとかえって高くつきます。
例えば、外壁塗装を行ううえで必ず必要な物の1つが足場。
足場は職人の安全のためや、適切な塗装をするためには欠かせません。
足場は一部だけの塗装だとしても、塗装する場所が高い位置にある場合は組む必要があります。
足場を組む費用は一般的に15万〜25万円です。この金額が部分塗装を施工するたびにかかってしまうのです。
また、職人の人件費は工期によって変わるものの、一部だけの外壁塗装でも工期は全面塗装とあまり変わりません。
数回にわたる余分な足場代と職人への人件費でトータルコストで考えると割高になると理解しておきましょう。
仕上がりの色や艶にムラが出る
一部だけの外壁塗装では、新しい塗装面と塗り直していない塗装面で色味が変わるケースがあるので、建物のイメージが不自然になる可能性があります。
古い塗装面と同じ色を使ったとしても、新しい塗装面では艶の出方や風合いを旧塗装面と同じように仕上げるのはほぼ不可能です。
どんなに技術のある職人が塗装しても、新しい塗装面と色褪せしている面を100%揃えるのは無理でしょう。
家全体の劣化が抑えられない
そもそも外壁塗装は、外観を回復するだけでなく、経年劣化で傷んだ壁を補修し、家を守る力を取り戻すために行われます。
費用面だけを考えて「まだこのひび割れは小さいから」といって、目立つひび割れの部分のみで済まそうとする方もいるでしょう。
しかし、結果的に小さなひび割れから水分などが侵入し、家全体の劣化を招いてしまうのです。全面塗装であれば細かい劣化も含め修繕可能です。
今後のメンテナンス計画が立てにくい
一般的に外壁塗装は、塗料の寿命に合わせて、約10年に1度の間隔で行います。
そのため、一部だけの塗装を繰り返していると、施工のタイミングがバラバラになってしまいます。
塗装する部分によってタイミングが異なると効率が悪く、次の外壁塗装のタイミングを覚えにくいでしょう。
また、特に傷んでいる部分だけを部分的に点検すると、ほかにも傷んでいる部分があるのに気づかないケースもあります。定期的に全体を点検した方が、外壁や塗装の傷みを見つけられる可能性は高いです
一部だけの外壁塗装でもそれなりに工期はかかる
一部だけの外壁塗装にした場合、1〜2日で塗装が終わるとお思いの方が多いようです。しかし、実際は1〜2日では終わりません。一部だけの外壁塗装でも、1週間程度はかかるとされています。
一部だけの外壁工事であっても、工程自体は全面塗装と変わりません。足場の設置から始まって、洗浄・塗装・乾燥・足場の撤去まで多くの工程があります。
しかも、天候によっては作業時間が左右されるので、さらに時間がかかる可能性もあります。
一般的な外壁工事は10日〜14日かかるとされていますので、一部だけの塗装でも同じぐらいの時間がかかるのであれば、一気に全面を仕上げた方が圧倒的に効率がよいです。
例外的な一部だけの塗装でよいケース
外壁塗装は、全面がおすすめですが、以下の2点に関しては例外的に一部だけの塗装でいいとされています。
- 増改築した家
- 未塗装の部分
どちらも既に外壁の一部だけ塗装タイミングがずれてしまっています。
一部だけの塗装で防水効果を維持しましょう。
増改築した家
家を増築した場合は、部分的に新しい外壁と古い外壁になるケースがあります。
新しい外壁が、しっかりと防水機能が働いているのであれば、必ずしも全面塗装を行わなくてもよいでしょう。
ただし、次回の塗り替えはなるべく同時に施工し、全面塗装をおすすめします。また、増築した部分が5年以上経っている場合は、部分塗装ではなく、全面塗装を行いましょう。
未塗装の部分
外壁のなかには、給湯器やエアコンの室外機が設置されているところなど、どうしても塗装できない場合があります。
給湯器や室外機を交換したり取り外したりした際に、塗装していない部分が出てきた際は、部分塗装を行いましょう。
塗装をしないで放置すると、その部分のみが劣化してしまうので部分塗装を施工しましょう。
給湯器や室外機の裏のような一部分だけを塗装する場合は、足場を組まなくてよいケースがほとんどです。
そのため、費用面でも負担を抑えられます。
予算が足りない場合の解決策4選
これまで部分塗装よりも全面塗装をおすすめしてきましたが、実際に全面塗装するとそれなりの費用がかかるのは事実です。
ただ、費用がかかるからといって塗装を後回しにして劣化が進み、さらに修繕費がかかってしまう事態は避けたいものです。
そこで、ここでは予算が足りない場合でも塗装を行うための解決策について解説します。
リフォーム専用のローンを利用する
大きなお金を準備するのが難しい方には、リフォーム専用のローンがおすすめです。
もちろんローン返済時は金利は発生します。
しかし、塗装を数年後回しにするとさらに劣化が進み、金利以上に修繕費がかかってしまいます。
塗装業者によっては、金融機関を紹介してもらえるケースもあるので一度相談してみましょう。また、ごく稀にではありますが、無金利でローンを組めるキャンペーンを行なっている業者もありますので併せてチェックしてみましょう。
地元の専門業者に依頼する
お住まいの地元の専門業者に依頼するのも1つの手です。大手のハウスメーカーに依頼すると、どうしても仲介手数料などの費用が発生します。
地元の業者であれば、段取りなども融通が利きやすいので、大手のハウスメーカーと比較すると費用を大きく節約できる可能性があります。
お得に工事を行いたい場合は、地元の専門業者への依頼も選択肢に加えてみましょう。
助成金を活用する
市区町村によっては、助成金や補助金が出る場合があります。
お住まいの自治体ごとにそれぞれ助成金制度は異なっており、自治体によっては助成金制度自体がない場合もあります。
お住まいの地域の状況をまずは調べてみましょう。
自治体によっては、施工前に自治体への申請が必要な場合がありますので、事前に申請する手順を確認する必要があります。
火災保険を利用する
台風や強風、大雪などで外壁に傷ついた場合、火事でなくても、火災保険が使用できる場合があるのをご存じでしょうか。
足場を必要とする場合、一緒に外壁塗装工事を行なってしまえば足場代を浮かせられる可能性があります。
もしも、外壁塗装を検討していて、自然災害による修繕も同時に考えているのであれば、一度保険会社に確認してみましょう。
まとめ
外壁塗装は一面だけでもできないわけではありませんが、建物のトータルコストで見ると割高です。
また、仕上がり具合も不自然になりやすいので、全面塗装をおすすめします。
ただし、未塗装の部分がある場合は、その部分に関しては一部だけの塗装を検討してもよいでしょう。お住まいの現状を把握して最適な塗装方法を判断してください。
外部塗装をお考えの方は弊社にお気軽にお見積り・ご相談ください。
Q&A
Q:一面だけを外部塗装した場合の価格は?
A:一面のみの外壁塗装の相場はおよそ30〜40万円です。
40坪住宅の外壁塗装の相場が90〜120万円と、一面だけの外壁塗装の方が割高です。
Q:外壁塗装はどこを塗り替えればいいのか?
A:塗装のメインになるのは、屋根と外壁です。
そのほか、ヒサシやベランダなどの鉄部や樋(とい)も対象です。
Q:外壁塗装を行うのはどの季節がよいのか?
A:梅雨以外であれば、ほぼ年中可能です。しかし、冬場は塗料の乾燥に多少時間がかかるため工期が若干長めです。