「減築」という言葉をご存知でしょうか。減築とは、住宅など建物の床面積を減少させコンパクトにすることをいいます。リノベーションというと、主に新しい設備を加えてきれいにしたり部屋を増やしたりするなどをイメージしますが、「減築」というリノベーション手法もあるのです。たとえば、親子で暮らしていた家なら、子どもが巣立つことによって必要のない部屋が出てきます。また、ご高齢の方にとっては、2階建てや3階建ての家は移動が大変で暮らしにくさを感じることもあるでしょう。
このような方には、家族構成やライフスタイルの変化に対応して部屋数や面積を減少させる減築リノベーションがおすすめです。より暮らしやすい住まいを手に入れるための考え方として、ぜひご検討ください。
減築リノベーションとは何か
減築リノベーションとは、住まいの部屋数を減らすなどの工事をおこない、床面積を減少させるリノベーション方法のことをいいます。年を重ねるにつれて広い家の中を移動したり階段の上り下りしたりすることが大変になり、暮らしにくく感じる方もいるでしょう。そんなとき、減築リノベーションならライフスタイルの変化に合わせてお住まいをコンパクトにできるのです。では、具体的にどのようなリノベーションプランがあるのか見てみましょう。
平屋にする
家族が減ったことによって2階部分を使うことがなくなってしまった人には、平屋にする方法がよいでしょう。年を取ったり、足を痛めたりして2階に上がること自体がおっくうになっている場合は、平屋にすることでお悩みを解決できるのではないでしょうか。
一部分の部屋を減らす
隣家との距離をあけたいと思っている人や、庭を広げたいと思われている方に最適な減築リノベーション。広くなった分で駐車場を作ることもできます。
2階建てを吹き抜けにする
吹き抜けは明かりとりにもなり、広々とした開放空間を生み出せます。住宅が洗練された雰囲気になるので人気があります。夏の暑さも、空気の通り道ができることによって涼しくなります。
減築リノベーションのメリット
掃除やメンテナンスが楽になる
家が広いとその分掃除も大変です。とくに、2階まで掃除をするのは一苦労です。2階をなくしたり部屋数を減らしたりすることでそういったわずらわしさから解放されます。また、家がコンパクトになっている分、外壁などそのほか減築した部分に付随するもののメンテナンスが必要なくなります。
税金が安くなる
税金は住宅の床面積(専有面積)によって決まります。減築リノベーションでは床面積を減らすことできるので、固定資産税が減額される可能性が高くなります。
住み慣れた場所で暮らしつづけることができる
部屋が多く、もてあましてしまう場合、もう少しコンパクトな家に引っ越ししたいと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし減築リノベーションであれば、立地はそのままで家の大きさを暮らし方に合わせて調節できるため、住み慣れた場所でずっと暮らし続けられます。
減築リノベーションのデメリット
費用がかかる
減築する場合も、増築などほかのリフォーム・リノベーションと同じようにさまざまな費用が発生します。たとえば、作業するにあたって足場を組んで解体していかなければならないため足場代がかかりますし、解体後の廃材の処分にもお金がかかります。もし仮住まいが必要な場合は引っ越し代や家賃もかかります。費用と照らし合わせたうえで、減築リノベーションをするかどうかご検討ください。
減築リノベーションの費用
費用については、実際に見積りをとらなければわからないところもありますが、1㎡あたり約10~15万円が相場です。たとえば、1階の8畳ほどの部屋を解体した場合は200万円程度、2階であれば300万円程度、2階建てから平屋にする場合は1000万円程度費用がかかります。ただし、あくまでも目安であるため、現在の住宅の状態や施工内容によっても変わります。リノベーションをご検討される場合には、必ずリフォーム業者に詳しい見積りをとるようにしましょう。
補助金制度の適用
また、減築リフォームには補助金が適用される場合があります。ここでは、減築をする際に活用できる補助金制度についてご紹介します。減築は高額な費用がかかるため、お得に工事を行うためにもしっかり確認しておきましょう。
減築と一緒に「耐震改修工事」や「省エネリフォーム」を行う場合には、補助金制度の対象となることが多いです。例えば、耐震改修工事では、建物の安全性を向上させるためのものであると認められれば補助金の対象となります。傾向としては、建物が旧耐震基準の場合、2階建てを平屋に減築した場合などに認められるケースが多いようです。
耐震改修工事をお考えの人は、まず業者に相談して耐震強度を診断する必要があります。耐震強度は、予備調査・1次調査・2次調査・精密調査を行い調べています。費用の相場は、鉄筋コンクリート造の場合1㎡あたり800円~、木造の場合20万円~が一般的な目安となっています。耐震診断はリフォームを行うタイミングですると効率がよく、コストを抑えられるのでおすすめです。
このほかにも、独自の補助金制度を用意している自治体は多数あります。地元のリフォーム業者であれば、補助金にも詳しく、積極的にサポートしてくれるので、安心してリフォームを行えます。減築リフォームで補助金を活用したいとお考えの人は、まずリフォーム業者に確認してみましょう。
減築リノベーションで補助金適用の可能性もある
また、減築リフォームには補助金が適用される場合があります。補助金はどんなリノベーションでも適用トンるわけではなく、減築によって耐震強度や安全性が増す場合に認められるものに限ります。ご興味のある方は、ぜひリノベーションを始める前にお住まいの自治体などにご確認ください。
わざわざ費用をかけてまで「減築」リノベーションを行うということに対して疑問を持たれる方もいるかもしれません。しかし、高齢化社会である今でこの「減築」は需要が増しています。使わない部屋は防犯上の不安につながり、掃除が行き届かない場合はカビやシロアリなどの被害の要因となることも考えられます。また、高齢者の階段の上り下りによる事故も増えています。こういった理由から、住み慣れたわが家を終の棲家にするために、費用をかけてでも減築リノベーションを選ぶという方が増えてきています。
ご興味のある方は、ご相談だけでも大歓迎ですのでぜひ一度お問い合わせください。