建て替えとリフォームでは、一般的にはリフォームの方が、費用が安いと知っている方は多いでしょう。それでは、費用だけではなく、税金面でも違いがあるのはご存じですか?費用を節約するために建て替えではなく、大規模なリフォームを検討する方も多いようです。
しかし、大規模な改修を行うと以前よりも固定資産税が上がってしまう可能性があります。そこで今回は、建て替えとリフォームでは税金面でお得なのはどちらかを解説します。この記事を読んでいただくと、建て替えとリフォームでどちらが税金面でお得なのかがわかり、自分にあった改築がわかります。
建て替えとリフォームでは建て替えの方が税金面ではお得
税金面だけを考えた場合は、建て替えの方がお得です。詳しくはのちほどご紹介しますが、新築・リフォームをした場合に固定資産税の減免措置が受けられる市区町村は多く存在します。
しかし、減免される期間は新築すなわち建て替えの方が、長くなっています。また、住宅ローン控除に関しても建て替え・リフォームともに対象ですが、リフォームの方が、条件が厳しくなっています。つまり税金面だけを考えると建て替えの方がお得です。
固定資産税の概要と計算方法
固定資産税は、資産の評価額に基づいて算出される税金です。毎年1月1日の時点で所有している土地や建物に対して課せられます。
国土交通省が決めた土地や建物の価格の70%が固定資産評価額となっています。計算方法は以下の通りです。
固定資産税=固定資産評価額×標準税率(1.4%)
固定資産税評価額は3年ごとに見直しが行われています。ただし、基本的に家屋の状態に変化がなければ変更はありません。
土地の評価は年月を経過しても変わらない、または状況に応じ若干の変化はあります。一方、建物の価値は年々下がるので、築年数が古いほど固定資産税は安いです。
リフォームすると税金に影響するのか?
家の老朽化や不具合を修繕すると、税金が上がる可能性があります。固定資産税は土地や住宅など固定資産に対して課される税金です。
そのため、修繕して以前よりも住宅の価値が上がれば、税金も上がる可能性があります。ただし、上がるのは大規模なリフォームの場合で、壁紙を交換した程度では税金に影響はありません。ここからは税金が上がるケースや変わらないケース、減税になるケースを解説します。
税金が変動しないケース
固定資産税は住宅の状態が変わると、家屋調査を行い再評価がされます。しかし、すべてのリフォームが評価に影響するわけではありません。
まずは税金が変わらないケースについて解説します。
耐震補強工事
本格的な耐震補強工事は、梁や床、基礎の工事も必要です。しかし、そこまで大規模でない場合は建物の評価は変わらないので固定資産税は上がらないでしょう。
この場合の大規模とは、基礎だけを残した住宅全体の耐震工事すなわちスケルトンリフォームを指します。要するに、それ以外の部分的な耐震補強工事では、固定資産税は変動しないと考えてよいでしょう。
間取り自体に変更がない
内装の改修や変更といった程度のリフォームで、間取りの変更がない場合は、建築確認申請の必要がないので評価額は変わりません。しかし、柱を撤去するような大規模な間取り変更をする場合は、建築確認申請が必要となる場合があり、評価額が上がります。
固定資産税が上がるのは、建物の評価が上がったからです。要は経年劣化によるリフォームは必要な補修と考えられ、影響はありません。
基礎部分に影響がない
住宅の基礎にあたらない壁や柱、床、階段などの建築確認申請が必要とされない程度のリフォームでは、固定資産税に影響はありません。
つまり、建築確認申請の有無で固定資産税に影響があるかどうかわかるのです。
税金が上がるケース
固定資産税は、所有する固定資産の価値に応じて税額が決定されます。次は、住宅の価値が上がるリフォームとはどのようなものなのか、代表的な3種類のケースを紹介します。
床面積が大きくなる
固定資産評価額は、床面積をもとにして算出します。そのため、階数や部屋数を増やすと住宅全体の床面積が大きくなるので、建築確認申請や不動産登記が必要です。
平屋建ての家を2階建てに増築したり、子ども部屋を増築したりする場合が当てはまります。カーポートや物置なども雨風が凌げることから、屋内的要素があると判断されますので注意しましょう。
大規模なリフォーム
床面積が増えなくても、大規模なリフォームを行うと固定資産税が上がる可能性があります。評価の見直しになるかの判断基準は、リフォームのために壁を壊し骨組みだけにしたかどうかです。固定資産税対象家屋の要件には、外気分断性と土地定着性、用途性の3点があります。
この3点のどれかを無くした場合には、一旦解体された建物ですので再評価になるのです。また、リフォームにより住宅自体の耐久性が上がれば価値が増加しているので、そのぶん固定資産税が上がる可能性があります。
建物の利用目的が変わるケース
リフォームの目的はさまざまです。居住用の住宅のリフォームをする方がいれば、相続して受け継いだ家を事務所として活用したい方もいます。
ただし、用途変更をする場合も価値が変わるので、固定資産税が上がる可能性があります。また、用途変更する場合も不動産登記の変更が必要です。
税金が減税対象になるケース
住宅の品質を維持するためのリフォームを行うと、固定資産税が下がる減税制度も用意されています。ここからは、減税対象になる3つのリフォームについて詳しく解説します。
省エネリフォーム
省エネリフォームを行った場合は、翌年の固定資産税が1/3に減額されます。以下のいずれかに該当するのが条件です。
- 居住用の住宅で工事費用が50万円超
- 工事後の床面積が50㎡以上
- 平成26年4月1日以前から住んでいる
上記の条件に該当すれば、減税制度が適用できます。
耐震リフォーム
耐震リフォームを施工した場合は、翌年の固定資産税が半額に減額されます。減額制度の利用条件は以下の通りです。
- 工事費用が50万円超
- 昭和57年1月1日以前からある住宅を現行の耐震基準に適合する耐震リフォームを行う
上記2点の条件に該当すれば、減税制度を利用できます。
バリアフリーリフォーム
バリアフリーリフォームを行った場合は、翌年の固定資産税が1/3に減額されます。
以下のいずれかに該当するのが条件です。
- 65歳以上が居住する住宅である
- 要介護者または要支援者の認定を受けている
- 障がい者
そのうえで、居住用住宅で築10年以上、工事費用が50万円超であれば利用できます。
建て替えの場合の税金について
建て替えの場合は、新築になるので、課税される固定資産税の減額措置があります。また、住宅ローン減税の優遇措置もあります。
固定資産税の厳格措置も住宅ローンの優遇措置も、リフォームにも同様の制度はあるものの、建て替えの方がより優遇されているといえるでしょう。
住宅ローン減税の優遇措置がある
リフォームに対しても同様の制度がありますが、借入限度額が最大で5,000万円と大きく設定されており、控除年数も3年長く13年で設定されています。
そもそも、リフォームでは住宅ローン減税を利用する割合が低いので利用できない方も多いです。
固定資産税の減額措置がある
国土交通省の定めで、新築の戸建ては3年間、固定資産税が1/2に減額されます。リフォームの固定資産税の減額措置よりも期間が長く設定されているのです。
また、所定の要件を満たした場合は最大7年間まで延長されます。各市区町村によっても割合や期間などが変わるようです。要件や対象をよく確認しましょう。
まとめ
リフォームと建て替えでは、費用面と工期に大きな違いが出ます。リフォームと建て替えのどちらにも、税金の減額措置があり、比較的建て替えの方が優遇されています。税金面だけを考えるのであれば、建て替えの方がお得です。最終的には現在の家の評価や、家に求める性能など総合的に判断するといいでしょう。両者の違いや強みを知ったうえで、最善の選択をしましょう。
建て替え工事やリフォーム工事をお考えの方は、お気軽に弊社にご相談ください。経験豊富な職人が、高品質な施工をお約束いたします。
Q&A
Q:リフォームは固定資産税に影響しますか?
A:現在お住まいの住宅の劣化した部分を修繕するだけの場合は、基本的に固定資産税が変動することはありません。
Q:固定資産税が上がるリフォームとは、どのようなものですか?
A:柱や壁、屋根、梁などの住宅の主要構造部をリフォームする場合や床面積が増える場合、建物の利用目的が変わる場合は固定資産税が上がります。