高齢化社会だといわれて久しいですが、今後もますます高齢化が進んでいくと予想されています。というのも、2040年には全人口のうち4000万人弱の35%が65歳以上になるというのが、平成30年9月の総務省統計局の統計の推移で示されています。(参考:総務省統計局「統計からみた我が国の高齢者-「敬老の日」にちなんで-」https://www.stat.go.jp/data/topics/topi1131.html)
現在、ご高齢ではない方や介護が必要でない方も、将来そのような状況になるかもしれません。ご自身でなくとも、ご家族にご高齢者や障害をもった方がいる場合、在宅介護を必要とすることになるかもしれません。そのため、今後はどんな人にも住みやすい家造りが必要になります。
そこで今回は、ご高齢者や障害をもった方でも住みやすいバリアフリーのリフォームについてご紹介します。
【ケース別】バリアフリーリフォームの事例
ここからは、ケース別にバリアフリーリフォームの事例をご紹介します。実際のリフォームをイメージしながら、読んでいただくとより分かりやすいかと思います。提示している費用はあくまで一例ですので、リフォーム内容なご自宅の設定などによっても異なりますがぜひ参考にしてください。
車いすでのトイレ利用
車いすを利用する方にとって、トイレが使いづらいととても大変です。従来のトイレでは、間口や内部に十分な広さがないと車いすが入りません。車いすがスムーズに入るくらいの広さを確保することが大切です。
また、便器も和式ではなく洋式の洗浄便座(ウォシュレット)がよいでしょう。
●和式から洋式トイレへの交換
【リフォーム費用:約15万円〜】
最近は、洋式トイレが一般的です。車いす利用者にかぎらず和式トイレは足腰に負担がかかるので、洋式トイレに変えるのがおすすめです。人を感知して自動的に蓋が開閉するタイプだとより楽ですよね。
また、手すりを一緒につけることも忘れないようにしましょう。手すりは、形状や長さにより異なりますが約2万円から設置できます。
●便座交換・洗浄便座(ウォシュレット)の設置
【リフォーム費用:約5万円〜】
洗浄便座があるとトイレ利用が助かります。リモコン式で離れた場所から操作できるものもあります。コンセントがない場合、増設工事も必要です。
●トイレの増築
【リフォーム費用:約70万円〜】
間口が狭く段差があると車いすが入れません。間口を広く取り引き戸にすることで、車いす利用者もトイレの出入りが便利になります。
車いす自体もトイレに入らないと使いづらいのでトイレ空間自体も広くしましょう。車いすが通る間口の広さは80cm以上、便器の側面も70cm以上あると利用しやすいです。
転倒・ヒートショックがおこりやすい浴室
浴室は滑りやすいため、転倒して大きなケガをすることがあります。また、ヒートショックによって心臓に大きな負担がかかり心筋梗塞や脳卒中を招く危険もあります。ヒートショックとは、暖かい部屋から寒い浴室へ移動することにより、急激に体の熱が奪われるで血管が縮小し血圧の上昇が起こる現象です。
命に関わることですから、とくに注意し対策しておかなくてはなりません。
●在来工法からユニットバスにリフォーム
【リフォーム費用:約100万円〜】
在来工法とは、昔ながらのタイル張りの浴室です。在来工法では断熱性・防水性は高くないため、温度差が出やすく滑りやすくなります。一方、ユニットバスは断熱性に優れた製品が多いのでおすすめです。
じつは段差が多い玄関
玄関やアプローチ部分は段差がついていることが多いですよね。年令を重ねると「年々足腰が弱ってきた」「膝や腰を痛めてしまった」ということも増え、段差が辛くなります。車いすや杖での歩行が必要な人はなおさらでしょう。
●玄関アプローチにスロープをつける
【リフォーム費用:約20万円〜】
玄関アプローチとは、門から玄関までのことをいいます。この玄関アプローチには段差や急な勾配が付いていることがあります。勾配を緩やかにして、スロープをつけると車いすなどの移動もしやすいでしょう。
リフォーム費用にお困りの場合
バリアフリーリフォームと一言にいっても、トイレや浴室、玄関など、多岐にわたることがわかりました。バリアフリーのためリフォームすることはご家族にとっても便利で快適ななのですが、どうしても費用が発生します。
上記で示した費用はあくまで一例ですが、「バリアフリーのリフォームをしたいけどお金が……」「もう少し負担を小さくできないかな」とお悩みの方は、ぜひ補助金や助成金について知っていただきたいと思います。
補助金や助成金もさまざまですので、リフォームの内容や必要な金額などにあわせて適したものを利用するとよいでしょう。ここでは、その一部をご紹介します。
介護保険からの補助金
介護保険制度により、要支援・要介護1〜5の認定された人が住む住宅かつリフォームが必要な場合、支給限度基準額20万円までの7〜9割を支給されます。
支給の対象となるリフォーム工事は、以下にあてはまるものです。
- 手すりの取付け
- 段差の解消
- 滑りの防止及び移動の円滑化などのための床または道路面の材料の変更
- 引き戸などへの扉の取り替え
- 洋式便器などへの便器の取り替え
- その他、上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
自治体からの助成・補助金
各自治体で、バリアフリーのリフォームに対して補助金制度を設けています。たとえば、東京都新宿区では「一人暮らし高齢者等への助成(住宅設備改修費助成等)」という支援制度があり、手すりの取付け・段差の解消・洋式便器への取り換えなどに1〜3割負担をおこなっています。各自治体の制度によって対象や金額など内容が異なります。お住いの自治体のホームページや窓口などで調べてみてください。
所得税減税(バリアフリーリフォーム減税)
こちらは、バリアフリーリフォームをおこなうことで所得税の減税を受けられるという減税制度です。検討しているリフォームが減税・控除の対象となるかどうか、事前に確認しておくと安心です。
●投資型
投資型は、住宅ローンを組むかどうかにかかわらず利用できる制度です。制度の適用は、2021年12月31日までの期限が定められています。限度額は200万円、控除率は10%です。
●5年ローン型
投資型に対し、ローンを組むことによって利用できるのがローン型です。5年ローン型とは、簡単にいえば5年以上のローンを組み5年間所得税控除を受けられるという仕組みです。こちらも制度の適用は2021年12月31日までです。限度額250万円、5年間に渡り毎年2%の控除があります。
バリアフリーリフォームで安全・快適な空間に
バリアフリーリフォームは、住む人の安心安全に大いに役立ちます。住みよい空間になると、毎日の暮らしも楽になるでしょう。弊社では、専門スタッフがご自宅に訪問しお話をうかがいます。ご相談・ご要望によってリフォームの提案や補助金についてもアドバイスさせていただきます。まずは、お気軽にお問い合わせください。