「あれ?なんだか床が沈むような気がする…」「歩くたびに『ギシギシ』うるさいな…」
自宅の床に異変を感じると、不安になりますよね。そのまま放置すると、さらに状況が悪化したり、思わぬ事故につながる可能性も。
でも、ご安心ください。この記事では、床が沈む主な原因から、今すぐ自分でできる応急処置まで、分かりやすく解説します。専門業者に依頼する前に、まず自分でできることから始めて、被害の拡大を防ぎましょう。あなたのお住まいの床を、再び安心できる空間にするためのお手伝いをします。
床が沈む主な原因を理解する

床の沈みやきしみは、単なる経年劣化だけでなく、さまざまな要因が複雑に絡み合って発生することがあります。原因を正しく理解することは、適切な応急処置や根本的な解決策を見つけるための第一歩です。ここでは、床が沈む主な原因について解説します。
構造的な問題
床を支える構造材に問題がある場合、床の沈みやきしみの原因となることがあります。床は、床板の下にある「根太(ねだ)」、根太を支える「大引き(おおびき)」、さらに大引きを支える「束(つか)」といった構造材によって支えられています。これらのいずれかに損傷や劣化、接合部の緩みが生じると、床全体の支持力が低下し、沈みが発生します。また、新築時やリフォーム時の施工不良によって、十分な強度が得られていないケースも考えられます。
湿気や水濡れによる影響
床下は湿気がこもりやすい場所であり、この湿気が床材や構造材に悪影響を与えることがあります。長期間にわたる湿気過多は、木材の腐食を招き、カビの発生を促します。木材が腐食すると強度が著しく低下し、床が沈む原因となります。また、配管からの水漏れや結露などによって直接水濡れが発生した場合も、同様に木材の劣化を早め、床の沈みを引き起こすことがあります。
建材の経年劣化
住宅の床に使われているフローリング材や合板、畳などの建材も、長年の使用や環境の変化によって徐々に劣化していきます。特に、歩行による摩擦や衝撃、日光による乾燥、湿度の変化などが複合的に作用することで、建材自体の強度が失われていきます。その結果、床材がたわんだり、下地が弱くなったりして、床が沈むような感覚が生じることがあります。
地震や衝撃などの外的要因
予期せぬ大きな地震や、重量物の落下、大型家具の移動など、外部からの突発的な衝撃も床の沈みの原因となることがあります。これらの外的要因によって、床の構造材にひびが入ったり、接合部が外れたり、歪みが生じたりすることがあります。特に、築年数の古い家屋や耐震性の低い建物では、わずかな衝撃でも構造にダメージが及び、床の沈みやきしみとして現れることがあります。
床の沈みをチェック!どこがどのように沈んでいるか確認しよう

応急処置に入る前に、まずは床の沈みがどのような状態にあるのかを正確に把握することが重要です。沈んでいる場所や範囲、音の有無、そして床材の種類を確認することで、原因を特定し、適切な対処法を選ぶためのヒントが得られます。
沈んでいる場所と範囲
床の沈みを確認する際は、まず「どこが」「どのくらいの範囲で」沈んでいるのかをチェックしましょう。特定の場所だけが点のように沈むのか、それとも部屋の広範囲にわたって沈むのかで、原因は大きく異なります。例えば、特定の家具を置いている場所や、よく人が通る場所だけが沈む場合は、その部分への負荷が原因である可能性が考えられます。広範囲にわたる沈みであれば、床下全体の構造的な問題や湿気の影響などが疑われます。
音や振動の有無
床が沈む際に、歩くと「ギシギシ」「ミシミシ」といった音や振動がするかどうかも重要なチェックポイントです。これらの音は、床材と下地の間に隙間が生じていたり、下地の木材同士が擦れたりしている場合に発生することが多いです。特に「ギシギシ」という音は、床材の浮きや、下地の根太(ねだ)と呼ばれる木材が弱くなっているサインかもしれません。音の質や発生するタイミングをよく観察することで、より詳細な原因を探る手がかりになります。
床材の種類(フローリング、畳など)
ご自宅の床がフローリング、畳、クッションフロアなど、どの種類の床材であるかを確認することも非常に大切です。床材の種類によって、沈み方や劣化の進行具合、そして何よりも応急処置の方法が大きく異なるためです。例えば、フローリングであれば板の隙間からの補修が考えられますが、畳の場合は畳そのものの交換や下地の調整が必要になることがあります。床材の種類を把握することで、次に取るべき応急処置の選択肢を絞り込むことができます。
【原因別】自分でできる床の応急処置

床の沈みやきしみの原因が特定できたら、いよいよ応急処置です。ここでは、床材の種類や原因別に、ご自身でできる具体的な対処法をご紹介します。あくまで一時的な処置ですが、被害の拡大を防ぎ、専門業者に依頼するまでの間、安心して過ごすための一歩として役立ててください。
フローリングの場合
フローリングの沈みは、見た目にも分かりやすく、歩行時の不快感も大きいため、早めに対処したいものです。ここでは、フローリングの沈みに対する具体的な応急処置方法を原因別に解説します。
隙間への充填(木材、パテ、接着剤など)
フローリングの沈みが、板同士の隙間や、床材の浮き、あるいは根太との間にできた微細な隙間が原因である場合、充填材を使って安定させることができます。
- 木材パテやコーキング材:
- 手順: 隙間に木材用のパテや、フローリングの色に合わせたコーキング材を充填します。パテは乾燥後に硬化し、隙間を埋めて床材の動きを抑えます。コーキング材は弾力性があるため、多少の動きにも対応できます。
- ポイント: 充填する前に、隙間の中のホコリやゴミをきれいに除去してください。充填後は、はみ出た部分をきれいに拭き取り、平らに仕上げましょう。
- 木工用接着剤:
- 手順: フローリング材が根太から剥がれて沈んでいる場合、注射器などを使って、沈んでいる部分の隙間に木工用接着剤を少量注入します。その後、重しを置いて数時間から一日程度固定し、接着剤が完全に乾燥するのを待ちます。
- ポイント: 接着剤を入れすぎると、周囲にはみ出したり、床材が盛り上がったりすることがありますので注意が必要です。
簡易的な補強
床下から直接アクセスできない場合でも、できる範囲で簡易的な補強を試みることができます。
- 床下からアクセスできない場合:
- 方法: 沈んでいる部分のフローリングに、細いビスを打ち込んで根太に固定する方法があります。ただし、根太の位置を正確に把握する必要があり、失敗すると床材を傷つける恐れもあります。また、ビスの頭が飛び出さないよう、皿ビスを使用し、必要であればパテで埋めるなどの仕上げが必要です。
- 注意点: この方法はあくまで応急処置であり、根本的な解決にはなりません。
- 床下からアクセスできる場合:
- 方法: 点検口などから床下に入ることができる場合は、沈んでいる部分の根太の下に、木材の切れ端や専用の「束」を追加して支える補強が有効です。また、既存の根太が劣化している場合は、その両側に新しい木材を添え木のように固定して補強することも考えられます。
- ポイント: 作業する際は、安全を確保し、床下の環境(湿気や害虫など)にも注意を払ってください。
畳の場合
畳の沈みは、多くの場合、畳の下の床板の劣化や、畳自体のへたりが原因です。フローリングとは異なる対処法が必要になります。
畳の沈みへの対処法
畳の沈みに対する応急処置は、主に高さを調整することで対応します。
- 畳の下に板や厚紙を敷く:
- 手順: 畳を上げて、沈んでいる部分の床板の上に、薄いベニヤ板や厚手の段ボール、新聞紙などを重ねて敷き、高さを調整します。その後、畳を元に戻し、沈みが解消されているか確認します。
- ポイント: 均一な高さになるよう、複数枚を重ねる場合は端を揃えるなど工夫しましょう。湿気対策のため、防湿シートを挟むのも効果的です。
- 畳の裏返しや表替え:
- タイミング: 畳自体がへたって沈んでいる場合は、畳の裏返しや表替えを検討する時期かもしれません。これは専門業者に依頼する作業ですが、一時的な応急処置としては、沈んでいる畳を他の場所の畳と入れ替えることで、一時的に不快感を軽減できる場合があります。
湿気対策としての応急処置
床下の湿気が原因で床材が劣化し、沈みが発生している場合は、根本的な湿気対策が不可欠です。
- 換気の徹底:
- 方法: 床下換気口がある場合は、枯れ葉やゴミなどで塞がれていないか確認し、清掃して通気を確保しましょう。可能であれば、床下換気扇を設置して強制的に換気を促すのも有効です。
- ポイント: 定期的に窓を開けて室内の換気を行うことも、家全体の湿気対策につながります。
- 除湿剤の活用:
- 方法: 床下空間に市販の床下用除湿剤を設置することで、湿気を吸収し、床材の劣化を遅らせる効果が期待できます。
- 注意点: 除湿剤は定期的な交換が必要です。また、広範囲の湿気問題に対しては、除湿剤だけでは不十分な場合もあります。
これらの応急処置は、あくまで一時的な対策です。症状が改善しない場合や、より深刻な原因が疑われる場合は、速やかに専門業者に相談することを強くお勧めします。
応急処置の注意点と限界

床の沈みに対する応急処置は、被害の拡大を防ぎ、一時的に状況を安定させるために有効な手段です。しかし、誤った方法で行うと、かえって状況を悪化させたり、危険を招いたりする可能性もあります。ここでは、応急処置を行う上での注意点と、その限界について解説します。
やってはいけないこと
床の沈みに対する応急処置を試みる際、以下のような行為は避けるべきです。状況を悪化させたり、根本的な解決から遠ざけたりするだけでなく、安全上のリスクを高める可能性もあります。
- 無理な力を加えて床材を剥がす・破壊する: 沈んでいる部分を無理に剥がしたり、破壊したりすると、周囲の健康な床材まで損傷させてしまう恐れがあります。また、床下の配線や配管を傷つけるリスクも伴います。
- 不適切な材料で隙間を埋める: 隙間を埋める際に、床材や環境に合わない材料(例えば、湿気に弱い木材を多湿な床下に使うなど)を使用すると、カビの発生やさらなる劣化を招くことがあります。
- 自己判断で床下の構造材を加工する: 床下の構造材(根太や大引きなど)は、建物の強度を支える重要な部分です。専門知識なしに切断したり、不適切な補強をしたりすると、家の耐久性に重大な影響を与える可能性があります。
- 一時的な補強で根本原因を放置する: たとえ一時的に沈みが解消されたように見えても、原因が解決されていない限り、問題は再発します。見た目だけの改善に満足し、根本原因の究明と対処を怠るのは危険です。
応急処置でどこまで改善できるか
応急処置は、あくまで「一時的な対処」であり、根本的な原因を解決するものではありません。そのため、応急処置に過度な期待はせず、その限界を理解しておくことが重要です。
応急処置で期待できる効果としては、以下のような点が挙げられます。
- 沈みの進行を一時的に止める: 軽度な沈みであれば、隙間を埋めたり、簡易的な補強を施したりすることで、一時的に沈みの進行を抑制できる場合があります。
- きしみ音の軽減: 床材の摩擦や隙間が原因のきしみ音は、充填材などで隙間を埋めることで軽減されることがあります。
- 歩行時の不快感の緩和: 沈みが緩和されることで、歩いた際のフワフワした感触や、つまずきのリスクが一時的に減少する可能性があります。
しかし、構造的な問題や大規模な劣化が原因である場合、応急処置では限界があります。例えば、床下の根太や大引きが腐食している、シロアリ被害がある、基礎にひびが入っているといったケースでは、専門家による詳細な調査と本格的な修理が必要です。応急処置は、あくまで専門家が到着するまでの「つなぎ」と考え、根本的な解決に向けて動くための時間稼ぎと捉えましょう。
専門業者に相談すべきケースの見極め方

床の沈みに対してご自身でできる応急処置は、あくまで一時的なものです。状況によっては、専門業者による根本的な修理が必要不可欠となります。ここでは、どのような場合に専門業者へ相談すべきか、その見極め方について解説します。
沈みが大きい、または広範囲に及ぶ場合
「少しだけ沈む」という程度であればDIYでの対処も可能ですが、沈みの度合いが大きい場合や、広範囲にわたって床が沈んでいる場合は、専門業者への相談を強くおすすめします。例えば、床を踏むと大きくたわむ、家具を置いただけで沈み込む、複数の部屋で同様の現象が見られるといったケースです。これらの状況は、床下構造全体に問題が生じている可能性があり、専門家による詳細な調査と適切な修理が必要となります。
構造的な問題が疑われる場合
床の沈みが、単なる床材の劣化ではなく、住宅の構造そのものに起因している可能性もあります。具体的には、床下の土台や根太(ねだ)といった構造材の腐食、シロアリ被害、あるいは基礎部分のひび割れなどが挙げられます。これらの問題は、目に見えない床下で進行していることが多く、放置すると住宅全体の耐久性や安全性に深刻な影響を及ぼしかねません。異臭がする、床下から虫の死骸が見つかるなどの兆候がある場合は、特に注意が必要です。
安全に関わる兆候がある場合
床の沈みに加えて、以下のような安全に関わる他の兆候が見られる場合は、緊急性が高いと判断し、速やかに専門業者に相談してください。
- ドアや窓の開閉不良: 床の沈みや家の傾きが原因で、建具の枠が歪み、ドアや窓がスムーズに開閉できなくなることがあります。
- 壁や天井のひび割れ: 構造の歪みは、壁や天井にひび割れを引き起こすことがあります。特に、斜め方向や複数の箇所にひび割れが見られる場合は注意が必要です。
- 家の傾き: ビー玉が自然に転がる、水平器で測ると明らかな傾きがあるなど、家自体が傾いている兆候が見られる場合です。これは地盤沈下や基礎の損傷など、重大な問題を示唆しています。
これらの兆候は、住宅の安全性が損なわれている可能性を示しており、早急な専門家による診断と対処が求められます。
応急処置後の確認と再発防止策

床の沈みに対する応急処置は、あくまで一時的な対応です。処置を施した後も、その効果を定期的に確認し、再発を防ぐための予防策を講じることが重要になります。問題の根本的な解決には、日々のメンテナンスと注意深い観察が欠かせません。
処置箇所の確認
応急処置を施した後は、それで終わりではありません。必ず定期的に処置箇所を確認し、状況が改善されているか、あるいは悪化していないかをチェックしましょう。
具体的には、以下の点に注目してください。
- 沈みの改善: 床の沈みが解消されたか、または軽減されたかを確認します。
- 異音の有無: 歩いたときに発生していた「ギシギシ」といった異音が消えたか、小さくなったかを確認します。
- 補修材の状態: 注入したパテや接着剤、補強材などが剥がれたり、ゆるんだりしていないかをチェックします。
これらの確認を怠ると、再発やさらなる問題の発生を見逃してしまう可能性があります。特に、湿度の変化が大きい季節の変わり目などは、念入りに確認するようにしましょう。
日常的なメンテナンスと予防
床の沈みの再発を防ぐためには、日々のメンテナンスと予防策が非常に重要です。以下の点を意識して、快適な住環境を維持しましょう。
- 適切な湿度管理: 床材は湿度の影響を受けやすいため、室内の湿度を適切に保つことが大切です。特に梅雨時期や冬場の乾燥期には、除湿器や加湿器を活用し、急激な湿度変化を防ぎましょう。床下換気扇の設置も有効です。
- 重い家具の配置見直し: 特定の場所に重い家具を置き続けると、床に負担がかかり沈みの原因となることがあります。定期的に家具の配置を変えるか、重さが分散されるように工夫しましょう。
- 水濡れ対策: 水回りの近くや窓際など、水濡れしやすい場所は特に注意が必要です。水がこぼれたらすぐに拭き取り、結露対策も徹底しましょう。
- 定期的な清掃: 床の隙間にゴミやホコリが溜まると、湿気を呼び込む原因となることがあります。日常的に掃除を行い、清潔な状態を保ちましょう。
これらの予防策を実践することで、床の沈みだけでなく、他の住宅トラブルの防止にもつながります。日々の少しの心がけが、家の寿命を延ばし、快適な暮らしを守ることに繋がるでしょう。
賃貸物件での注意点

賃貸物件にお住まいで床の沈みに気づいた場合、持ち家とは異なる注意点があります。勝手に修理を進めてしまうと、契約違反や退去時のトラブルにつながる可能性も。ここでは、賃貸物件での適切な対処法について解説します。
自分でできる範囲の確認
賃貸物件の床の沈みに関して、DIYで応急処置を行う際は慎重な判断が必要です。基本的に、賃貸物件の構造部分や設備に関する修理・改修は、所有者である大家さんや管理会社が行う義務があります。
自分でできる範囲としては、床材表面の軽微なきしみ音を抑えるための潤滑剤の塗布や、床材と壁の隙間に市販の隙間テープを貼るといった、原状回復が容易で、構造に影響を与えない範囲に留めるべきでしょう。それ以上の補修は、後々トラブルの原因となるため避けましょう。
大家さん・管理会社への相談方法
床の沈みを発見したら、まずは速やかに大家さんまたは管理会社に連絡しましょう。連絡する際は、以下のポイントを伝えるとスムーズです。
- いつ、どこで、どのような状況で沈みに気づいたか
- 例:「〇月〇日頃から、リビングの窓際を歩くと床が沈むような感触があります。」
- 沈みの程度や音の有無
- 例:「歩くとギシギシと音が鳴り、明らかに床がへこむのが分かります。」
- 現状の写真や動画
- 可能であれば、スマートフォンなどで撮影した写真や動画を添付すると、状況がより正確に伝わります。
多くの場合、修繕費用は貸主負担となりますが、入居者の故意や過失による損傷の場合は借主負担となる可能性もあります。連絡時には、修繕の費用負担についても確認しておくことが大切です。勝手に業者を手配したり、自分で大規模な修理を行うことは避け、必ず事前に相談するようにしましょう。
